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かくれんぼ<こたえなければ見付からない>

トールは身の上のことは話さなかった。

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そもそも子供は孤児ばかりなため無神経に聞く者は少なかった。

「トールは何才?」

「5才」

「好きな食べ物は?」
「…りんご」

「嫌いな食べ物は?」
「たまご」

「好きな色は?」

「黄色」

「嫌いな色は?」

「…緑」

「どこで生まれたの」年長の子供がしまったと言う顔をした。聞いた幼子はこれっぽっちも悪気はなかった。続けてきこうとするので年長はコラ、と幼子の頭を軽く叩いた。

「それはきいちゃだめなの」

「なんで」

「トール困ってるだろ。人を困らせるのは良くないことだ。あやまりなさい」

「ごめんねトール」

「大丈夫だよ」
トールは少し悩んでいたが言うことにした。
「ユピテルだよ」

年長者は目の色を変えた。
「お前ユピテル人かよ…ここはサトゥルヌスだ。サトゥルヌスとユピテルは仲が悪いんだぞ知らないの」

トールはぼんやりした目で「知らなかった」と言った。

「ぼくはなんにも知らないんだ」


そんな自己中心的な自暴自棄を聞いたか聞かないか彼らはトールの前から姿を消していた。

トールは頭を掻きむしり自分の部屋に帰って行った。


それからというもの、トールはひとりで過ごすことが増えた。食事の時もひそひそと「ユピテルって恵まれてるのに…」と好奇の詮索があったがみんなが別視しているのに気づいてか、何も聞こえない振りをして黙々と食べていた。
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