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かくれんぼ<気持ちの行方>

それからトールの側にはドリスがいることが増えた。

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ドリスは快活だった。他の孤児とも仲が良かったし、リーダー的存在ではないものの一目を置かれていた。
そんな彼を通して全くというわけではないけれどトールへの差別は減った。

だか彼らは多少孤立していた。
それは自由を意味していた。

朝の集会の後、ドリスが話し掛けてきた。

「なあ、森を抜けた向こうに川があるんだけど石投げしに行こうよ」

トールは独りでは暇だし、いいよ、とついていった。薄らぐ雲は凍てつく太陽から彼らを守るように優しかった。
そんな雲が大好きなはずだった。

森は木漏れ日を地面にばらまき、照り返す葉の光は蛍石の様だった。
脆い硝子の破片のようにザリザリと

トールの心臓にズキズキと暗雲は立ち込める。
嫌いだ、ドリスも森も雲も! 大嫌いだ!!


トールの心は土砂降りで歩く足は鈍り始めた。

「僕は森が嫌いなんだ」

「僕も森は嫌いだよ、生まれだ時から山林にいてさ、鬱陶しいし息は詰まるし。でもお陰で森は庭みたいなものだけど。」

「僕にはそんな風には思えないよ」
トールの足は止まった。
ドリスは足音がしないのに気付いて振り向くと困ったように笑うトールがいた。

ああ…これが…
ドリスは悟ったように遠い所を見た。これが僕の往くところなんだと。

ドリスはトールの手を取ると駆け出した。



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